2018ロシアW杯ではメンバーに召集されながらも最後まで出番のなかった遠藤航(わたる)選手。
そのワールドカップ後に、浦和レッズから新天地を求めてベルギーのシント=トロイデンVVに移籍しました。
アジアカップ2019では、柴崎岳とのボランチコンビでチームを引っ張りました。準決勝で怪我をしたため、決勝のカタール戦は出場できませんでしたが、森保ジャパンのボランチというポジションを確立したのではないでしょうか。
そんな遠藤のプレースタイルから見る適正なポジション、サッカー人生の転機となった3つの出来事、A代表での今後、遠藤が移籍したい4大リーグはどこか、についてまとめてみました。
遠藤航のプロフィール
遠藤航はリオ五輪世代(1993年~96年生まれ)の中でも最年長の1993年生まれです。サッカー選手として、特に守備の選手としては身長は178cmとそんなに大きくはないです。ちなみに、既に3人の子供さんがいます!
名 前 | 遠藤 航(えんどう わたる) |
出身地 | 神奈川県横浜市戸塚区 |
生年月日 | 1993年2月9日 |
身長/体重 | 178cm/75kg |
所属/背番号 | シント=トロイデンVV(ベルギー)/33 |
ポジション | MF(ボランチ)、DF(センター、サイド) |
利き足 | 右足 |
家族構成 | 妻(愛実さん)、長男(理玖りくくん)、長女(妃愛乃ひなのちゃん)、次男(理将りおくん) |
遠藤は19歳の時に同級生の愛実さんという一般の方と結婚しています。(いわゆるできちゃった婚)
家族はインスタやメディアなどにも時々出てきます。
次男の理将(りお)くんは、リオ五輪のときに生まれたから付けた名前だそうです。遠藤選手の夢は親子2代、プロとして同じピッチでプレーすることだと語っています。
遠藤航のプレースタイルから見る適正ポジションは?
ユーティリティプレーヤー
遠藤航は、サイドバック、センターバック、ボランチといった守備的ポジションを複数こなせるユーティリティプレーヤーです。はじめてプロとして所属した湘南ベルマーレではサイドバックを経験していますし、浦和レッズでは主にセンターバックとして活躍してきました。
日本代表や現在の所属クラブのシント=トロイデンでは、ボランチとしてチームの要を担っています。
ロシアW杯直前で解任されたハリル・ホジッチ元代表監督も、遠藤のこのユーティリティ性を買って日本代表に選出していましたし、西野朗前代表監督も「ポリバレント」という言葉を使って、複数のポジションをこなせる選手を選考基準のひとつとしていました。
意外に強いフィジカルと空中戦
一見その大人しそうな面持ちからは想像できませんが、遠藤は強靭なフィジカルの持ち主です。身長も178cmと決してサッカー選手としては恵まれた体格ではありませんが、大きな身体の相手にもフィジカルで負けない強さがあります。ハリル元監督は、遠藤のデュエル(1対1の勝負)の強さを高く評価していました。
また、遠藤は身長のわりに空中戦にもめっぽう強いのが特徴です。ジャンプ力もあるんですが、的確にボールが落ちてくる軌道を読む力(空間把握能力)が高いと言えます。
ヘディングで競り勝ってのゴールというシーンも多くあります。
間合いが絶妙のクレバーなディフェンス
23歳の時にチームメイトの柏木陽介から”おじいちゃん”と呼ばれるほど、冷静で落ち着きあるプレーで味方に安心感を与えています。
遠藤自身も、ゴールを与えない守備、ボールを奪いに行く守備、内に切るのか、外に逃がすのか、その時々で常に優先順位を考えてプレーをしていると語っています。
相手FWがトラップしてゴールに向かって振り返った瞬間に一気に間合いを詰めてボール奪取するプレーを得意としています。
また、相手のパスコースを読む力に長けており、相手にボールが渡る前にインターセプトをするといったプレーも得意としています。
ゴールに直結する縦パスが武器
遠藤自身もストロングポイントとして挙げている「縦パス」。
リオ五輪U-23の手倉森元代表監督も、遠藤のゴールに直結する縦パスがキーポイントになると期待していました。
縦に長いパスに送るロングフィードはキックの精度がなければ味方に通りません。中央の選手に鋭いグラウンダーのパスを出すにもキックの精度が求められます。
ボランチの位置あるいはDFラインの自陣深い位置から一気にゴールに向かう縦パスは、相手にとってとても脅威なプレーとなります。
遠藤航にとって適正なポジションは?
守備のスペシャリストであることは間違いありませんが、遠藤はボランチが一番適していると思います。本人的にもシント=トロイデンではボランチをやりたいと明言していますし、実際ボランチとして活躍しています。
クレバーな選手なので、相手のパスコースを読み、相手との間合いを一気に詰め、DFラインの前でボールをカットすることがでできます。
そして、ボールを奪取したら一気に前線にボールを入れ、攻撃の起点となれる選手です。
DFより前の守備的ボランチが一番合っているのではないかと思います。
遠藤航の転機となった3つの出来事
遠藤は父親がサッカーのコーチをやっていたことから、小学1年生からサッカーを始めています。
サッカー人生の転機となった3つの出来事は中学時代にさかのぼります。
ひとつは、横浜F・マリノスのユースチームのテストで落選したこと。
その当時はFWの選手でしたが、FWとしては通用しなかったということですね。
ユースに行けなかった遠藤は、他に受かっていた町クラブに入ろうとしますが、南戸塚中に優秀な指導者がいるから部活で続けてみることを勧められ、南戸塚中の部活に入りました。
ここで2つ目の転機が訪れます。それはチームの手薄な守備事情から、FWからセンターバックにコンバートされたこと。
今の遠藤があるのは、この2つの出来事が大きく影響しています。FWとしてマリノスユースに入団していたら、FWのまま中学時代を過ごしていたら、今の守備のユーティリティなスペシャリスト遠藤航は誕生していなかったでしょう。
そして3つ目の転機は中学3年生と時に訪れます。DFにコンバートされた遠藤は、その素質の高さから、ついには当時湘南ベルマーレU-18の監督をしていた現湘南トップチームのチョウ監督の目に止まり、湘南U-18からオファーを受けることになるのです。
そして、高校2年生時には国民体育大会で神奈川県少年選抜としてキャプテンとして優勝に貢献し、同年U-16日本代表に抜擢されるまでに至りました。
その後は世代別の日本代表に選ばれ、高校3年生時には飛び級でU-19代表にも選ばれ、湘南では2種登録選手(U-18に所属しながらJリーグ公式戦に出場できる制度)として、プロデビューも果たしています。
リオ五輪ではキャプテンとしてチームをけん引しましたが、グループリーグで敗退しています。
A代表での立ち位置は?
遠藤がはじめてA代表に呼ばれたのは、2015年の東アジアカップです。呼んだのはデュエルが大好きなハリルです。ここでハリルは収穫のあった選手の一人として遠藤のことを高く評価していました。
もっともA代表では呼ばれるものの、長谷部誠の2番手だったり、毎回コンスタントに出場できなかったりと、レギュラー獲得に苦戦していました。
遠藤の欠点は不用意なパスミスが目立つことです。フィジカルの強さ、空中戦の強さ、縦への精度の高いパスという武器を持ちながら、ボランチの位置で不用意なパスミスをすると失点につながりかねません。そのあたりがA代表でなかなかレギュラーを掴めなかった理由であると思います。
ただ森保監督の評価は高く、ここまでの森保ジャパンでは12試合で7試合スタメン出場しており、ボランチのレギュラー格として活躍しています。
18.9.11 | コスタリカ戦 | スタメンフル出場(1アシスト) |
18.10.12 | パナマ戦 | 出場せず |
18.10.16 | ウルグアイ戦 | スタメンフル出場 |
18.11.16 | ベネズエラ戦 | スタメンフル出場 |
18.11.20 | キルギス戦 | 出場せず |
19.1.9 | トルクメニスタン戦 | 出場せず(体調不良) |
19.1.13 | オマーン戦 | スタメンフル出場 |
19.1.17 | ウズベキスタン戦 | 後半39分IN |
19.1.21 | サウジアラビア戦 | スタメンフル出場 |
19.1.24 | ベトナム戦 | スタメンフル出場 |
19.1.28 | イラン戦 | スタメン後半15分OUT(怪我) |
19.2.1 | カタール戦(決勝) | 出場なし(怪我) |
遠藤も今後も安泰かというとそうではありません。
A代表のボランチは、キャプテンとして君臨していた長谷部が代表を引退したものの、森保監督では北京世代の青山敏弘をはじめ、ロンドン五輪世代(1989~92年)の柴崎岳、山口蛍、同世代では大島僚太、守田英正らが高く評価されています。アジアカップ2019では、ボランチ陣の怪我が相次ぎましたが、守田の代わりに呼ばれた塩谷司が高評価を得ました。
常に危機感を持ってポジション争いをすることは、日本代表のさらなる成長に欠かせませんのでいい傾向だと思います。
遠藤航が移籍したいヨーロッパ4大リーグは?
2018年7月に浦和レッズからベルギーのシント=トロイデンに移籍したばかりの遠藤ですが、当然ベルギーリーグで留まるつもりはありません。
次なるステップアップとして遠藤が希望するのはプレミアリーグだとコメントしています。子供のころから好きなリーグだったそうです。
スピードとフィジカルが要求されるプレミアにボランチとして移籍するには、ベルギーリーグあるいは日本代表で相当な結果を出し続けなくてはいけません。
ボランチで守備に貢献しつつ、縦へのパスでアシスト、そして自らも点を取れる選手を目指して貪欲にプレーしてほしいと思います!
まとめ
遠藤航は若いころはいろんなポジションを経験したいと言ってボランチ、CB、SBをこなしてきましたが、今現在25歳で4年後のカタールW杯は29歳となります。
今後はボランチのスペシャリストとして、全盛期の長谷部のようなキャプテンシーをもった代えの効かない選手にまで成長して、日本代表を引っ張っていって欲しいと思います。
最後に、これを見れば遠藤航の魅力が分かる!という動画を貼っておきます。ちょっと長めですが、面白いので必見ですよ!(約1時間の動画ですが、30分過ぎからは同じものが繰り返し入っていますので賞味30分です)
コメント