2018年10月19日、オーストラリアAリーグの2018-2019シーズンが開幕しました。翌20日、本田圭佑選手が所属するメルボルン・ビクトリーFCは、メルボルン・シティとダービーマッチに1-2で敗れましたが、本田はキャプテンとして移籍後初出場し、初ゴールを挙げました。
いきなり初出場初ゴールを挙げるといったインパクトを残すのが得意な本田ですが、ロシアW杯でも途中出場ながら、1アシスト1ゴールとしっかりと結果を残しました。しかし、すでにFCパチューカ(メキシコ)の退団が決定していたため、W杯後の次なる新天地が注目されていました。
様々な憶測が巡る中、本田が選んだのはまだ歴史の浅いオーストラリアのAリーグ。その中でも常に優勝争いに絡む強豪メルボルン・ビクトリーFCに移籍しました。
なぜ本田圭佑は、サッカーの歴史の浅いオーストラリアのメルボルン・ビクトリーFCに移籍したのか。今回はその3つの理由についてまとめてみましたのでご覧ください。
オーストラリアのAリーグってどんなリーグ?
そもそもオーストラリアのAリーグについて、知らない方も多いと思いますので簡単にご紹介します。
Aリーグはオーストラリア(Australia)のプロサッカーリーグのことで、韓国の現代自動車がオフィシャル・スポンサーとなっているため、正式な名称はヒュンダイ・Aリーグとなっています。
もともとオーストラリアではサッカー人気は高くなく、Aリーグ発足前は、ナショナルサッカーリーグ(NSL)というセミプロリーグが存在していました。
2002年の日韓ワールドカップを機に、オーストラリア内でもサッカーへの関心が高まり、NSLを改革する形で2004年にプロリーグであるAリーグが発足しました。本格的にリーグ戦が始まったのは2005年からとなっています。
Jリーグの開幕が1993年であることを考えると、Aリーグの歴史はまだまだ浅いですね!
Aリーグに加盟しているのは10クラブ。オーストラリア国内から9クラブ、ニュージーランドから1クラブが参加しています。ちなみにJリーグ(J1)は18クラブ。
全10チームによりレギュラーシーズン(10月開幕)を戦い、上位6チームがファイナルシリーズに出場できます。レギュラーシーズンで1位のチームとファイナルシリーズで優勝したチームには、AFCチャンピオンズリーグへの出場権が与えられます。
Aリーグの特徴として、加盟クラブが経営破綻しないように、チーム全員の年俸の上限額が決められています。ただ、Aリーグを盛り上げるため、マーキープレーヤー(目玉選手)としてその制限を受けない選手を各クラブ1人獲得することができます。本田圭佑もマーキープレーヤーとして、メルボルン・ビクトリーに加入しています。過去には、アレッサンドロ・デルピエロや小野伸二もマーキープレーヤーとしてオーストラリアでプレーしていました。
メルボルン・ビクトリーFCってどんなチーム?
メルボルン・ビクトリーFC(以下、メルボルンV)は、その名前のとおりオーストラリア第2の都市メルボルンを本拠地とするプロサッカーチームです。同じくメルボルンを本拠地とするメルボルン・シティとはライバル関係にあります。
これまでにレギュラーシーズンで1位を3回(2006-07、2008-09、2014-15)、ファイナルシリーズでの優勝は最多の4回(2006-07、2008-09、2014-15、2017-18)を誇り、レギュラーシーズンとファイナルステージをともに制しての完全優勝は3回となっています。
2017-18シーズンの優勝により、来季のAFCチャンピオンズリーグ2019の出場権を獲得しており、本田圭佑率いるメルボルンVとJリーグ勢が戦う可能性もあります。
AFCチャンピオンズリーグにもこれまでに5回出場しており、最高成績はAFCチャンピオンズリーグ2016のベスト16となっています。
本田圭佑の他に注目の選手は、オーストラリア代表のジェームズ・トロイージ(30)。
本田圭佑がAリーグのメルボルンVに移籍した3つの理由とは
本田があえて歴史の浅いオーストラリアAリーグのメルボルンVを選んだ理由は大きく3つあると考えられます。
① 2020東京オリンピックに出場するため
本田は2020東京オリンピックで、オーバーエイジ枠でサッカーU-23日本代表に選ばれ、出場することを目標として公言しています。
これまではW杯優勝という壮大な目標を掲げやってきましたが、4年後のカタールW杯では本田自身が選ばれることは難しく、事実上A代表は引退しました。
W杯優勝という目標がなくなった今、現役でサッカー選手を続けるには、別の高い目標を立てる、それが2年後の東京オリンピックに出場することで、そのためにメルボルンVを選んだと本田自身コメントしています。
トップコンディションを維持するためには、試合に出続けることが大切です。また、常に優勝争いに絡めるということは、選手が高いモチベーションを持って試合に臨むことができます。
それができるのがメルボルンVということですね!
ただ、メルボルンVを選んだ理由はこれだけではありません。
② カンボジア代表監督との兼務を容認
本田圭佑はやはり規格外の人間です。誰もやっていないことにチャレンジするのがポリシーのようですね。現役選手でありながら、他国の代表チームの監督をやるなんてことを誰が思いつくでしょうか。
ちなみにJリーグでは監督と選手は規約上兼任できないことになっています。(Jリーグ規約109条)
カンボジアサッカー協会がアジアサッカー連盟などに確認を取ったところ、ルール上は問題ないということです。ただ、本田選手も会見で「こういった形の契約は世界のどこを見ても初めてだと思う。」とコメントしています。
通常のチームであれば、このようなイレギュラーな契約は嫌がります。クラブを優先するといっても、二足のわらじではどうしてもクラブでのパフォーマンスに影響が出ると思うのが普通だからです。
ところがこの前代未聞の契約を受け入れてくれたのが、メルボルンVだったというわけですね。
③ 破格の特別待遇
最後に、本田圭佑の価値をクラブとして高く評価したことが理由として挙げられます。
先ほども述べたように、Aリーグにはマーキープレーヤーといって、年俸の制限を受けない選手を各クラブ1名獲得することができます。
Aリーグでは1クラブの全員の合計年俸が210万豪ドル(約1億7300万円)以下にしなくてはいけないと定められていますが、本田はマーキープレーヤーとして年俸は290万ドル(約3億2300万円)とされています。これだけ見ても破格の待遇ですが、かつてAリーグのシドニーFCに在籍した世界のスーパースター「アレッサンドロ・デルピエロ」でも160万ユーロ(当時で約1億6000万円)の約2倍ですから、本田への期待の高さと敬意が感じられます。
このように、サッカー選手として高い期待と敬意を寄せられたことも移籍の決め手になったと思います。
まとめ
本田圭佑がオーストラリアのメルボルンVへ移籍した理由について3つご紹介しました。個人的には、2番目の「カンボジア代表監督との兼務を容認」してもらえたことが一番大きいかなと思います。
今回の移籍は本田自身、悩みに悩み抜いた末の結論だと自身も述べていますが、サッカー選手として現役を続行すると決断した以上、次の目標に向かってメルボルンVで大いに活躍してほしいと思います。
ただ、東京オリンピックに出られる可能性は相当低いと考えます。

カンボジア代表の今後の行方にも気を配っていきたいと思います。
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