ロシアワールドカップで大活躍を見せた乾貴士選手。
その活躍は16強まで進出したチームのMVPであったと言っても過言ではありません。
2017年はこれまで誰も活躍できなかったスペインリーグで大活躍をみせ、日本に親善大使として凱旋帰国を果たすほどの実績を残しました。
そんな印象的な活躍を見せる乾ですが、ワールドカップ後は所属するベティスで定位置を掴めていません。
2019年1月24日、乾は出場機会を求めて、同じスペインリーグのデポルティーボ・アラベスというクラブへ移籍しました。
そもそも乾はどのようキャリアを歩んできた選手なのでしょうか。
今回は、乾貴士のプレースタイルとともに、乾のキャリアも振り返ってみたいと思います。
乾貴士のプロフィール
乾は滋賀県の野洲高校出身で、当時から小柄なテクニシャンとして有名でした。2010年に3歳年上の一般女性の方と結婚され、現在男の子が1人いるようです。
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名 前 | 乾 貴士(いぬい たかし) |
出身地 | 滋賀県近江八幡市 |
生年月日 | 1988年6月2日 |
身長/体重 | 169cm/63kg |
所属/背番号 | ベティス/8 |
ポジション | MF |
利き足 | 右足 |
家族 | 妻、子供(長男) |
乾貴士のプレースタイル
ドリブル&トラップスキル
周知のとおり、高いテクニックを活かしたドリブルを得意とする選手です。そのテクニックは日本にいた頃からズバ抜けていましたが、スペインに行ってからはさらに「トラップ」の技術が磨かれた印象があります。
特にトップスピードでのトラップには目を見張るものがあり、正確なコントロールからスピードを落とさずにそのままドリブルやパスに移行することができます。
このゴールに直結するトラップは日本でプレーしていた時にはほとんど目にすることがありませんでしたので、厳しい海外の環境で身につけたものだと思います。
乾のドリブルの特徴は、身体の動きとスピードの緩急で相手を抜き去ることができることです。
シュートスキル
シュートの精度が課題だと言われていましたが、スペインに渡って改善されたと思います。ロシアワールドカップで決めた2ゴールは、リーガでも決めている形ですね。
左サイドを主戦場とする乾は、ボールを受けてドリブルで中に切り込みながら、ペナルティエリアやや左から巻くようなシュートを得意としています。
コンビネーションスキル
また、乾は周りとのコンビネーションがとても上手い選手です。セレッソ大阪で香川と組んだゴールデンコンビは、まるでキャプテン翼の翼くんと岬くんのようだと評されています。また、代表での長友との息の合ったコンビは左サイドの武器となっていました。
自分で行くこともできるし、味方を上手く使うこともできるプレーヤーです。
【乾貴士の美しいプレーを楽しむ10分動画】(ぷあたんアカデミー様に感謝)
乾貴士の経歴
野洲高校時代
滋賀県出身で高校時代からそのプレーが注目されていました。
高校時代は山本佳司監督のもと、「セクシーフットボール」で一躍有名となった野洲高校で過ごしており、乾が2年生の時にあの有名な全国制覇を果たしています。乾はもちろん主力選手でした。
Jリーグ時代(マリノス→セレッソ)
高校卒業時は超高校級プレーヤーとして、Jクラブからオファーが殺到しましたが、最終的に設備が充実していた横浜F・マリノスを進路に選びます。
しかし、マリノスでは同じドリブラータイプの山瀬功治が10番として君臨しており、その山瀬からレギュラーを奪えず十分な出場機会を得ることができなかったため、2年目にセレッソ大阪にレンタル移籍します。
移籍したセレッソ大阪は当時J2所属でしたが、香川真司が所属しており、香川と乾の二人でJ2を席巻します。
2009年シーズンは香川が28得点12アシスト、乾が20得点9アシストの数字を残しており、ほぼこの二人のプレーは別次元でした。
香川はこのJ2での活躍とJ1昇格を置き土産にドルトムントに移籍しますが、乾も後を追うようにドイツに移籍します。
ドイツ時代(ボーフム→フランクフルト)
2012年に念願の海外移籍を果たします。
プレースタイルが近かった香川がドルトムントで大活躍していたことから、乾は1部チームからも多く声が掛かるのではないかと言われていましたが、最初に選んだチームは当時ブンデスリーガ2部所属のボーフムでした。
ボーフムは過去小野伸二も所属したことがあるクラブです。
ボーフムではレギュラーを掴みますが、乾の奮闘もむなしくチームは昇格を逃します。
しかし、この年に1部昇格を果たしたフランクフルトが乾を高く評価し、翌シーズン1部で戦うための戦力として乾を獲得します。
フランクフルトでは3年を過ごし、チームのヨーロッパリーグ出場権の獲得にも貢献するなど印象的な活躍をしました。
スペイン時代(エイバル→ベティス→アラベス)
4年間を過ごしたドイツを離れ、乾が新天地に選んだのはリーガエスパニョーラのエイバルでした。
実はマリノス入団時にスペイン移籍が夢と公言していた乾は、スペインリーグに強い憧れを持っていました。プロになってから足掛け9年、乾は遂にその夢を実現します。
しかしリーガエスパニョーラは日本人にとって鬼門であり、過去にも中村俊輔、大久保嘉人、城彰二、西澤明訓など日本代表でも活躍した名手たちが失格の烙印を押され失意のうちに帰国しているリーグです。
乾も活躍できるかどうか不安視されていましたが、蓋を開けてみれば乾のプレースタイルはスペインリーグに合っていたようで、エイバルではあっという間にレギュラーを掴みます。
バルセロナやレアル・マドリーとの試合でも得点を挙げるなど印象的な活躍を残しており、地元のサポーターからも高い人気を得ることとなります。
エイバルで充実した時間を過ごしますが、ロシアワールドカップ直前にベティスへの移籍を発表します。
スペインでは名を知られていたものの、ロシアワールドカップでここまで活躍することはベティスにとっても予想外だったようで、ワールドカップ後の価値高騰からベティスはオフシーズンで一番儲けたクラブだと報道されました。
相当の期待を受けて2018シーズンに望みますが、ベティスでは出場機会を十分に得ることができず、結局リーガでは8試合の出場にとどまりました。
そんな状況を打破するため、乾は同じリーガのデポルティーボ・アラベスにシーズン終了まで期限付き移籍することを決断しました。入団会見でも「右でも左でも構わないから、とにかく試合に出て貢献したい。」と発言しています。
アラベスでは2月23日のセルタ・デ・ビーゴ戦で日本人初のリーガ通算100試合出場を達成しています。
日本代表
ロシアでの活躍から引き続き森保ジャパンでも主力となることが予想されていましたが、ここまでは森保監督には招集されていません。
30歳という年齢から世代交代を図りたいという思いがあるのか、それとも違う意図があるのか、森保監督の真意は分かりませんが、ベティスで出場機会を失っていることも一因としてあると思われます。
乾とポジションを争うのは中島翔哉ですが、乾が加わればより激しいポジション争いが繰り広げられるでしょうし、招集されれば戦力となるのは間違いありません。
なにより中盤の3人のタイプが乾と近いので、誰と代わっても遜色なくプレーできると思われます。2018年最後の親善試合となったベネズエラ戦とキルギス戦で層の薄さを露呈した日本代表にとって、乾は貴重な戦力となるはずです。
まとめ
アジアカップでは怪我のため出場辞退した中島翔哉に代わり乾が招集されました。
中島が復帰したときに乾がどのような立ち位置になっているかは分かりませんが、アジアカップでは中盤の層の薄さが露呈してしまいましたので、トルコで復活を誓う香川と乾の元セレッソコンビにも期待が高まるところです。
リーガで活躍する乾の姿ももっと観たいですね!
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