川崎フロンターレの板倉滉選手(21)が、イングランド・プレミアリーグのビッグクラブのひとつ、マンチェスター・シティへ完全移籍するというニュースが舞い込んできました。
中島翔哉や香川真司など日本を代表する選手の移籍の噂が飛び交う中、「板倉滉」という一般的にはあまり知られていない選手のビッグクラブ移籍は世間を驚かせました。
もっとも、板倉はA代表の経験はないものの、各世代別代表に選ばれており、東京オリンピック期待の星と言われているほどの実力の持ち主です。
早速、板倉滉のプロフィールとプレースタイル、マンチェスター・シティへ移籍した経緯、日本代表の可能性などについてみていきたいと思います。
板倉滉のプロフィール
板倉は川崎フロンターレの下部組織出身で、U-12の1期生として同時期にトップ昇格した三好康児選手とともに切磋琢磨してきました。
2018シーズンはベガルタ仙台に期限付き移籍をし、サイドバックやセンターバックとして活躍しました。
名 前 | 板倉 滉(いたくら こう) |
出身地 | 神奈川県横浜市 |
生年月日 | 1997年1月27日 |
身長/体重 | 186cm/75kg |
所属 | フローニンゲン(マンCからレンタル移籍) |
ポジション | MF |
利き足 | 右足 |
板倉滉のプレースタイル
板倉は、ボランチ、センターバック、サイドバックもこなせるユーティリティプレイヤーです。
仙台では主にセンターバックとして出場することが多かったですが、攻撃が好きだと公言しているように、仙台で迎えたJ開幕戦で初先発し、いきなり初ゴールを奪いました。
仙台では積極的にシュートも撃つようになり、2018シーズンはDFながら3得点を記録しています。
186cm、75kgという恵まれた体格を活かしたヘディングや1対1の強さに加え、川崎の下部組織で鍛えた足元の技術も兼ね備え、ドリブルも上手い選手です。
本人としてはボランチで勝負したいという気持ちがあり、そのポテンシャルは中村憲剛選手も認めるところです。
世界的には大型ボランチが主流であり、移籍先のフローニンゲンも板倉をボランチとして起用したい意向のようです。
フローニンゲンのテクニカル・マネージャーのロン・ヤンス氏は、
- 守備のポジションでもプレーできるMF。キャリア全体を通してみるとボランチとしてのプレーが多いし、我々は彼をMFとして考えている。
- 彼はプレー時間を得ることができるだろう。十分に良い選手か見極めるには時間は必要だけどね。
と語っています。
板倉滉の経歴
川崎フロンターレ下部組織時代
横浜市出身の板倉は地元のクラブを経て、小学校4年生のときに、川崎フロンターレU-12のセレクションに合格し、1期生として入団します。
中村憲剛との対談動画の中で、小さいころからフロンターレファンで、小学校3年生のときにはプロで活躍していた中村との2ショット写真を記念に撮っていたそうです。
U-12では1年遅れて入団した三好康児とともに活躍し、発足2年度にはダノンネーションズカップ2008日本大会で初優勝しています。
中学に上がると、U-15に昇格。三好が中学2年生でU-18に飛び級招集されるなど飛躍していく一方、板倉は中学時代は伸び悩んだと言います。
川崎フロンターレトップチーム昇格するも・・・
高校でU-18に昇格すると、板倉も徐々に頭角を現し、足元の技術を買われて中盤でプレー。キャプテンとしてチームをけん引していきました。
2015年に三好とともにトップ昇格を果たします。このとき板倉は17歳。川崎のジュニアチームからの生え抜き選手として将来を嘱望されます。
しかし、川崎はJ1で優勝を争う強豪クラブ。選手層も厚いです。ボランチの位置には大島僚太、エドゥアルドネット(現:名古屋グランパス)、中村憲剛らがおり、板倉に出番はなかなか回ってきませんでした。
2016年にJ1で2試合(出場時間31分)、2017年にJ1で5試合(出場時間95分)のみの出場にとどまりました。
そして2018年シーズン、ボランチの定位置を掴んだのは大卒ルーキーの守田英正でした。
板倉も東京五輪を見据えて出場機会を得られない状況に危機感を覚え、ベガルタ仙台へ期限付き移籍を選択しました。
川崎フロンターレ一筋で、フロンターレを愛する板倉にとっては苦渋の選択だったと思いますが、これが功を奏します。
ベガルタではレギュラーとしてリーグ24試合(出場時間2108分)に出場し3得点挙げました。
こうした活躍が評価され、ついに世界のビッグクラブから声が掛かります。
名門マンチェスター・シティFCへ完全移籍
2019年1月15日、川崎フロンターレの公式HPにて板倉選手の移籍情報が発表されました。
昨季、ベガルタ仙台に期限付き移籍しておりました板倉滉選手の、今季、マンチェスター・シティFC(イングランド)への完全移籍が決定しましたので、お知らせいたします。
本人コメントの一部
昨年プレーさせていただいたベガルタ仙台では、プロになり初めてコンスタントに試合に出場することができ、たくさんの熱い声援をいただくなかプロサッカー選手としてもっともっと成長したい!という気持ちがより一層高まりました。仙台での1年間は最高の経験でした、忘れません!
初めての海外でのプレーなので、色々あると思います。厳しい環境に身を置いて、がむしゃらに突き進んで行きたいと思っていますので引き続き応援よろしくお願いいたします」
移籍金は約1億4000万円で複数年契約。期待の高さの現れと言っていいでしょう。
マンCは世界の若手有望株を集結させるプロジェクトにおいて、板倉のプレーをU-21日本代表として出場したトゥーロン国際大会2018や、Jリーグでの試合などで1年以上かけて見極めてきたと言います。その上でのオファーなので、板倉にかかる期待は大きいと言えると思います。
もっとも、板倉はA代表の経験がないため、プレミアリーグでプレーするための就労ビザが取得できません。
そのため、2020年夏までの期限付きでオランダのフローニンゲンに移籍することになりました。
フローニンゲンと言えば、日本代表で活躍中の堂安律も在籍しています。堂安は板倉の2学年下ですが、ともに東京五輪世代でありクラブでも同じチームでプレーできるのは板倉にとって心強いんじゃないでしょうか。
先ほども書いたように、フローニンゲンは板倉をボランチとしての戦力として起用する方針のようですので、フローニンゲンで大きく羽ばたいてほしいと思います。
海外の選手に負けない体格を活かして、ボランチとしてスペシャルな武器を磨いていってマンCの名将・グアルディオラ監督が是非とも使いたいと思わせるような選手に成長していくことを期待しましょう。
マンCは堂安にも興味を示しているという報道もありましたので、もしかしたら2人揃ってマンCでプレーするなんてことが将来あるかもしれません。
海外で活躍するためには、まずは語学が必須。かつて高校サッカー選手権で最多得点を記録した平山相太氏(現役引退)は、移籍したオランダのヘラクレスをクビになったのは、オランダ語が全く話せずコミュニケーションが取れなかったからだとテレビで語っていました。
板倉にはこのビッグチャンスを是非ともモノにしてほしいですね!
日本代表招集の可能性
板倉は1月27日で22歳になります。東京五輪世代の選手では、堂安律(20)や冨安健洋(20)といったもっと若い選手がA代表で活躍しています。
板倉自身も、「東京五輪の前にA代表に選ばれたい」と語っていたように、A代表に対する強い思いはあるようです。
現在の日本代表のボランチは、柴崎岳、遠藤航、青山敏弘、守田英正が呼ばれていますが、守田はアジアカップ2019を怪我のため辞退しました。遠藤も体調不良のため初戦を欠場しています。そこで、本職でない冨安をボランチとして起用する始末です。
そう考えると実は今のA代表ボランチの層は厚くありません。板倉のフローニンゲンでの活躍次第では呼ばれる可能性は大きいのではないでしょうか。
板倉ほどの大型ボランチがいないからです。柴崎(175cm)、遠藤(178cm)、青山(174cm)、守田(177cm)に対し、板倉には186cmの高さがあります。
世界と渡り合うためにも、板倉のような大型ボランチを1枚用意しておくと日本にとっては心強いと思います。
板倉の活躍次第というところですが・・・
まとめ
一気に世間の注目を集めることになった板倉滉。
中村憲剛がこんなことを言っていました。(前掲の動画)
- 選手って、人の目が育てるんで。お客さんの目が育てるから。
- 「こんなもんなの?」って思われるプレーをしちゃいけないんですよ。
- 見る目が厳しくなるんで、常に高い水準でプレーしなくちゃいけない。
- そうすると意識もプレーも変わってくる。選手としての覚悟も変わってくる。
まさに今の板倉選手にぴったりの言葉だと思います。
マンCの板倉という目で見られるので、その名に恥じないプレーでファンを魅了してほしいと思います。
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