AFC U-19選手権2018では準決勝でサウジアラビアに敗れましたが、FWとして活躍した久保建英選手。日本中、いや世界が注目する日本の至宝といえる若手選手です。
久保建英といえば、10歳のときにFCバルセロナのカンテラ(育成組織)に入団したことで、日本中で話題となりました。たびたびニュースで取り上げられるなど、世界のビッグクラブの元で成長する久保のプレーやその動向に注目が集まっていました。
今回は、FCバルセロナに認められた久保のプレースタイル、FCバルセロナのカンテラに入団してから退団、Jリーグでプレーするに至った経歴、バルサへの復帰の可能性についてまとめてみました。
2019.6.18追記
久保建英のプロフィール
まず、簡単に久保選手のプロフィールを紹介します。サッカーセンスは申し分ありませんが、まだ身体が出来上がっていない感じですね。
名 前 | 久保 建英(くぼ たけふさ) |
出身地 | 神奈川県川崎市麻生区 |
生年月日 | 2001年6月4日 |
身長/体重 | 173cm/67kg |
所属/背番号 | レアル・マドリー/ |
ポジション | FW/MF |
利き足 | 左足 |
久保建英のプレースタイル
久保選手はFW、MFなど攻撃的な位置でプレーする選手です。
左利きであること、バルセロナでの経歴から、日本ではたびたびメッシとプレースタイルを比較されますが、彼はメッシのようなスピードに秀でたドリブラータイプではありません。
むしろバルセロナではイニエスタに近いプレースタイルを評価されていたようです。
身体的な能力に優れているわけではありませんが、トップスピードでも正確なボールコントロールができ、瞬時に冷静な判断を下せる頭のよい選手であるといえます。
特にJ1初ゴールを決めた際の一連のプレーには、久保選手の魅力が凝縮されているといえます。
このシーン、久保選手はDFからボールを受け取り、すぐにトップスピードでドリブルを始めます。DFを引きつけておいて、右サイドを走っていたフリーの選手に浮き玉のパスを送り、自身はゴール前に走り込みます。
ここで通常の選手であれば、そのままゴール前にスピードを落とさずに走りこみますが、久保選手はあえて一瞬止まります。この動きで自身のマークを完全に外し、ゴール前でフリーとなり、正確なシュートで枠を捉えました。
この止まる動きはバルセロナで身につけたものであると高く評価されました。
久保建英の経歴~FCバルセロナへの入団と退団、そしてJリーグへ
久保の経歴を時系列で並べると以下のようになります。
2010-2011 | 川崎フロンターレ U-10 |
2011-2015 | FCバルセロナ ユース |
2015 | FC東京U-15 |
2016- | FC東京U-23 |
2017- | FC東京 |
2018- | 横浜F・マリノス(レンタル) |
2019- | FC東京 |
ところでなぜ10歳の少年がFCバルセロナのカンテラに入団しただけで、大きなニュースになったかご存知でしょうか?
これはFCバルセロナのカンテラが世界的に有名な育成組織であったからです。
FCバルセロナのカンテラとは
FCバルセロナのカンテラは選手の育成に定評があり、これまでも数々の名選手を排出しています。
■主な出身選手と現在の所属チーム
- グアルディオラ(マンチェスターシティ監督)
- メッシ(バルセロナ)
- イニエスタ(ヴィッセル神戸)
- シャビ(アル・サッド)
- ピケ(バルセロナ)
- セスク(チェルシー)
- イカルディ(インテル)
特に2010年のバロンドール(世界最優秀選手)の最終候補3名はメッシ、イニエスタ、シャビであり、バルセロナのカンテラ出身の3選手が最終候補を独占したことで、バルセロナのカンテラが大きく評価されました。(最終的にはメッシがバロンドールを受賞しています)
久保選手のカンテラ入団は、この翌年の2011年のことだったということもあり、世界最高の育成組織に日本人の少年が入団したと話題になったのです。
なお、バルセロナのカンテラに入団することができるのは世界でも一握りであり、久保選手も以下の実績を残したことで入団が許可されました。
久保選手のバルセロナ入団前の実績
- 2009年8月 小学2年生で参加したFCバルセロナキャンプでMVPに選ばれる。
- 2010年4月 FCバルセロナスクール選抜としてベルギーで開催されたソグデソ・ヨーロピアン・ルーサスカップに参加。チームは3位に終わったが、通常は優勝チームから選出される大会MVPに輝く。
- 2011年8月 FCバルセロナの入団テストに合格
久保選手のFCバルセロナ入団後の活躍
久保選手はFCバルセロナ入団後も順調にステップアップを重ね、世界最高の才能が集まる環境で順調にカテゴリーを上げていきました。
カテゴリー名 | 年代 | 契約 | 久保建英 |
プレベンハミン | 7~8歳 | アマチュア | |
ベンハミンD | 9~10歳 | ||
ベンハミンC | |||
ベンハミンB | |||
ベンハミンA | |||
アレビンD | 11~12歳 | ||
アレビンC | 久保入団(2011年) | ||
アレビンB | ↓ | ||
アレビンA | ↓ | ||
インファンティルB | 13~14歳 | ↓ | |
インファンティルA | 久保退団(2015年) | ||
カデテB | 15~16歳 | ||
カデテA | |||
フベニールB | 17~19歳 | ||
フベニールA | プロ | ||
バルサB | ー | ||
バルサA | ー |
ただし、2015年に思ってもいない理由で久保選手はFCバルセロナからの退団を余儀なくされることとなります。
FCバルセロナ退団
2015年、FCバルセロナは「18歳未満の外国人選手獲得・登録違反」が発覚し、ペナルティとして当時カンテラに所属していた外国籍の選手は18歳までバルセロナでの公式戦出場が禁止されました。
これにより当時15歳であった久保選手は、FCバルセロナで18歳まで試合に出ずに世界最高の環境で練習を積むか、公式戦に出場するために日本のチームに移籍して試合経験を積むのかの2択を迫られました。
久保選手は悩んだ末、日本に帰国することを選び2015年3月にFC東京のユースチームに入団します。
FC東京のユースチームに入団
帰国時には元々所属していた川崎フロンターレのユースチームを選択するのではないかと言われていましたが、最終的に久保選手が選択したのはFC東京でした。
当時JリーグではJ3が立ち上がり、FC東京はU23チームを所有していたことから、実戦経験を重視した選択だったと思われます。(川崎フロンターレはU23チームを持っていません。)
FC東京のユースチームでもすぐに頭角を現し、中学生であった15歳の時点で既に高校生のチームでレギュラーとして試合に出場しており、日本クラブユース選手権(※)で大会史上初となる中学生での得点王に輝いています。
※高校生年代のクラブユースチームの日本一を決定する大会
まだ体が出来上がっていない中学~高校年代では、身体能力の差がそのままサッカーの実力として反映されてしまう傾向があるため、中学生が高校生の試合に出場できることは非常に稀でした。さらに久保選手自身もそこまで身体能力に恵まれた選手ではありません。
にも関わらず得点王を獲得していることから、当時から抜きん出た才能があったことが分かりますね。
2016年にはFC東京U23のメンバーとして公式戦に中学生として出場しており、Jリーグ史上最年少出場記録を塗り替えています。
FC東京とプロ契約
2017年11月にはFC東京とプロ契約を結んだことが発表されます。16歳5ヶ月での契約となりましたが、これはJリーグ史上3番目の若さでした。
プロ入り当初はJ1での試合にも出場していましたが、2018年にトップチームの監督が長谷川健太監督になったことから転機を迎えます。
長谷川監督はチームに運動量を求める監督として知られ、フィジカルに優れた選手を好みます。久保選手のポジションではディエゴ=オリベイラ選手、永井謙佑選手がファーストチョイスであったことからもそれが伺い知れます。
久保選手にもこの2人と同様の役割が求められましたが、フィジカルを活かしたプレースタイルではなかったことから長谷川監督の要求を満たせず、久保選手はFC東京での出場機会を次第に失っていきます。
横浜Fマリノスへ期限付き移籍
2018年8月に同じJ1の横浜Fマリノスに期限付き移籍することが発表されました。
これは横浜のポステコグルー監督がFC東京との対戦時に久保選手を高く評価していたこと、またポステコグルーの目指すサッカーがポゼッション重視であったため、久保選手の長所が活きやすい環境であったことが移籍のきっかけになったと言われています。
久保選手は監督の期待に応え、2018年8月のヴィッセル神戸戦でカンテラの先輩であるイニエスタの目の前でJ1初ゴールを決めました。
2018シーズン終了後、久保はFC東京に復帰しました。
久保建英はFCバルセロナへ復帰できるのか?
久保選手は2019年6月に18歳の誕生日を迎えますが、かねてより18歳になったタイミングでFCバルセロナに復帰するという噂があります。
FCバルセロナ側も久保選手を高く評価し続けており、退団に至った経緯からも取り戻したいという思いもあるようです。
また久保選手自身もFCバルセロナへの将来的な復帰を希望しており、たびたびFCバルセロナのユースチームの練習に参加するためにスペインへ渡航しているという情報があります。
ただし今時点でFCバルセロナに移籍してもすぐにトップチームで出場できるかといえば、難しいと言わざるを得ないと思います。
同じポジションにはメッシ、スアレス、コウチーニョという世界的な名手がいます。
久保選手がバルセロナで試合に出るには、まず今所属しているFC東京でレギュラーポジションを奪う必要があります。
以前は出場機会を得られませんでしたが、長谷川監督の信頼を得て、コンスタントに出場できなければバルセロナ復帰も難しくなるんじゃないでしょうか。
メッシもイニエスタも16歳、17歳でバルセロナでの出場機会を得ています。
久保選手もまだ17歳ですが、彼らと同じレベルになるためにはこれまで以上の成長スピードが求められると思います。
まとめ
順調に成長を遂げていっている久保ですが、まずは所属のFC東京でコンスタントに出て結果を残し続けていって欲しいと思います。
将来、日本の選手がバルセロナの本拠地カンプノウでプレーしている姿を想像するとワクワクしますね。まさにキャプテン翼の世界です!
久保にはその素質がありますので、是非とも実現してもらいたいと思います。
最後に、久保建英のスーパープレーが凝縮した動画をご覧ください。
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