西野JAPANのロシアワールドカップの躍進を経て、2018年7月26日に日本代表の新監督に森保一氏が就任しました。
森保監督はもともと東京オリンピック代表監督を務めていたため、A代表監督発表時にプレッシャーの掛かるオリンピック代表監督は誰かに引き継ぐのではないかと言われていましたが、蓋を開けてみると兼任監督となることが発表されました。
A代表とオリンピック代表の監督兼任はフィリップ・トルシエ監督(日韓ワールドカップとシドニーオリンピックの兼任)以来2人目のことであり、実に16年振りのことです。
世界的にみても兼任監督は珍しく、この試みが成功するかどうか注目されています。
森保監督は元々選手としても代表経験があり、監督としてもサンフレッチェ広島を強豪に変えた実績があります。
ここでは森保監督の選手時代の経歴にも触れながら、森保一という人物を紐解きます。
森保ジャパン2018年の成績は?
森保体制ではこれまで5試合のうち4勝1分けという、いまだ負けなしの成績で2018年の代表試合を終えました。
- 9/11 vsコスタリカ 3-0
- 10/12 vsパナマ 3-0
- 10/16 vsウルグアイ 4-3
- 11/16 vsベネズエラ 1-1
- 11/20 vsキルギス 4-0
特筆すべきは爆発的な得点力です。これまで日本代表は決定力不足だと叫ばれ続けながら、なかなか克服できないでいました。
これまでの結果だけみれば、決定力に問題はなさそうです。中でも世界ランキング5位の南米の強豪ウルグアイに4点も奪った得点力は見事ですね。
なにより内容、結果、さらに世代交代にも成功していることからその手腕が改めて高く評価されています。
森保監督の選手、監督としての経歴
長崎県出身の1968年生まれの50歳です。カズやゴン中山が1967年生まれの51歳ですので、彼らと同年代であると考えるとイメージしやすいと思います。
選手時代には日本代表での活躍もあり、監督としてはサンフレッチェ広島で黄金時代とも呼べるチームを作り上げています。
<選手時代>
サンフレッチェ広島の前身であるマツダ自動車に1987年に入団し、そのまま1993年のJリーグ開幕を迎えJリーガーとなりました。
森保は1993年のドーハの悲劇ではイラク戦でスタメン出場しており、メンバーの1人としても知られています。
現役時代のポジションはボランチであり、攻守にバランスの取れたプレイヤーでした。
その戦術理解度の高いプレーから、日本に「ボランチ」という言葉を持ち込んだのは森保監督の日本代表での活躍だと言われています。
サンフレッチェ広島のスター選手でしたが、現役終盤には京都パープルサンガ、ベガルタ仙台にも在籍しており、2003年35歳で現役引退します。
<コーチ・監督時代>
現役引退翌年の2004年にサンフレッチェ広島強化部のコーチに就任し、2007年にはミハイロ・ペテロビッチのトップチームコーチに就任します。
ペテロビッチの下で監督の基礎となる経験を積みますが、2010年には親交のあった黒崎久志に請われ、アルビレックス新潟のヘッドコーチに就任したことで一度広島を離れています。
黒崎は2012年まで新潟の監督を務めていましたが、シーズン途中に成績不振で辞任しており、同じタイミングで森保監督もチームを離れます。
2012年シーズン終了後にペテロビッチが浦和の監督に就任したことに伴い、後釜としてサンフレッチェ広島の監督に就任します。
ペテロビッチのサッカーに造詣が深かったことから、それを期待しての監督招聘でしたが、監督就任当初は対外的な評価は低いものでした。
監督経験が初めてだったこと、前任のアルビレックス新潟でも黒崎久志体制では大きな成績を残すことができなかったこと、ペテロビッチの特殊なサッカーを引き継ぐことの難しさを指摘されていたからです。
しかし、結果としては勝負弱い印象であったサンフレッチェ広島を見事に蘇らせ、就任1年目からのJ1制覇、続く2013年には連覇を達成します。3連覇を狙った2014年は8位に終わりますが、2015年は再びJ1制覇を果たします。
監督として、4年間で3度のJ1制覇を達成し、正にサンフレッチェ広島の黄金時代を築き上げます。
2017年に成績不振で惜しまれながらもサンフレッチェ広島の監督を辞任しますが、その才能を日本サッカー協会は放っておかず、同年東京オリンピックを目指す代表監督に招聘します。そして2018年にA代表との兼任が発表されました。
森保監督の戦術とは
サンフレッチェ広島時代の代名詞はペテロビッチから継承した変則的な3-5-2です。ペテロビッチのサッカーは魅せる戦術として非常に面白いものでしたが、理想を追求するあまりタイトルには恵まれませんでした。森保監督はこのスタイルを引き継ぎつつも、現実的な采配でサンフレッチェを勝てるチームに変えた監督です。
2人の戦術で特徴的なのはゴールキーパーから徹底的にボールを繋ぐスタイルであり、攻撃時はボランチの一人がセンターバックの位置まで下がることでサイドにおける数的優位を作り、中で点を決めるスタイルでした。
ここまではペテロビッチと同じですが、ペテロビッチ時代はカウンターからの失点が多く、点は決めるが同時に多く点を決められてしまうという欠点がありました。
森保監督はこの戦術の長所を活かしつつも、守備の整理を進め、どこでボールを奪いきるのか、リスク管理のためにどうすべきなのかを整理しました。
就任後はペテロビッチ時代にはなかった勝負強さを誇るようになり、絶対に負けられない局面で必ず勝利を収めています。
日本代表でも当初、この3-5-2システムを採用すると言われていましたが、ここまでは全て4-5-1システムを採用しています。
自分のシステムに固執しないやり方で、なおかつ目に見える結果を残していることから、選手に合わせたやり方を考案することにも長けているのかも知れません。
さいごに
森保監督の日本代表は一言でいうと「面白い」です。
見ていて飽きない試合をすること、またJリーグの選手にも目を向け、伸び盛りの選手を積極的に日本代表に召集し、ほぼ起用することもサッカーファンの期待に応えてくれています。
選ばれた選手が自覚を持ってプレーするようになるなど、サッカー界全体の盛り上がりを感じますので、このまま長く務めて欲しいと個人的には思っています。
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