サッカーは11人でプレーするスポーツですが、11人をどのように初期配置するかが勝敗を大きく左右します。
ゴールキーパー(GK)、ディフェンダー(DF)、ミッドフィールダー(MF)、フォワード(FW)と大きく分けて4つのポジションがありますが、GK以外は自由に配置することができます。
極端に言えば、GK以外、全員MFというフォーメーションもアリなんですね。
実際にフォワードを配置しない0トップシステムと呼ばれるフォーメーションもあります。
サッカーではフォーメーションのことを「システム」とも呼びます。
ここでは、
- フォーメーションの種類(トレンド)
- それぞれの特徴
- チームごとに採用しているフォーメーション
などについてまとめました。
フォーメーションの種類(トレンド)
フォーメーションについては、単なるスタート位置であると言い切る監督もいれば、各々が守るべき領域であると考える監督もおり、どこまでその位置を守るかは監督によって変わります。
傾向として、攻撃に特徴を持つ監督は前者、守備に重きを置く監督は後者のパターンが多い傾向があります。
3-5-2?4-3-3?
よくサッカーを好きな人がサッカーのフォーメーションを数字で表現することがあります。
これはGKを除く10人の人数構成を略しており、
3-5-2(図1)であればDF3人、MF5人、FW2人、
4-3-3(図2)であればDF4人、MF3人、FW3人
という人数構成となります。
つまりDFからそれぞれのポジションの選手の数を数えていることになります。
図1:3ー5ー2
図2:4ー3ー3
4バックと3バックはどちらが守備的?
DFのことを「バック」と呼ぶことがあります。
よく耳にする4バック、3バックとは、DFを4人配置するのか、3人配置するのかの違いとなります。
この4バックと3バックはどちらが守備的なのかという話題はよく話に上がります。
普通に考えると、単純にDFの人数が多い4バックが守備的であると思いますが、実は一般的には3バックが守備的と言われます。
DFの数が多いのになぜ守備的かと言われるかというと、ポイントは4バック時に配置されるサイドバック(SB)にあります。(図3)
図3
<スタート時>
<攻撃時>
SBには攻撃的な役割を担わせることが多く、ゴール前まで積極的にオーバーラップを仕掛けることが求められます。
酒井宏樹選手や、長友佑都選手はそのサイドバックの典型であり、積極的にゴール前まで駆け上がる姿をよく目にすると思います。
しかしゴール前まで行くということは、必然的に後ろの人数が少なくなるということであり、カウンター時の守備が手薄になります。
一方で3バックの場合にはSBを配置せず、センターバック(CB)を3人配置します。
CBはゴール前まで積極的に駆け上がることはほとんどありません。
自陣でディフェンスを専任として考えており、常にゴール前に3人が残ることになります。さらに中盤のサイドの選手をウイングバック(WB)と呼び、守備時は彼らが戻って来るため、実質5バックとなります。(図4)
これが守備的と言われる所以です。
図4
<スタート時>
<守備時>
トレンドのフォーメーションは?
近年のトレンドは次のいずれかです。
- 4-3-3(図5)
- 3-6-1(図6)
どちらもウイングと呼ばれる外に張る選手を置くという点で共通点があります。
前者の場合はウイングフォワード(WF)、後者の場合はウイングバック(WB)を置きます。
これは現代のサッカーはサイド攻撃が要であり、ピッチを広く使った攻撃を仕掛けることがトレンドのためです。
図5:4−3−3
図6:3−6−1
多くのクラブが、このどちらかのフォーメーションを採用しており、
攻撃的なチームであれば4-3-3
守備的なチームであれば3-6-1
を採用しています。
ただし試合相手によって使い分けることもあり、また試合の状況によって試合中も変えることもあるため、1シーズン通して同じフォーメーションで行くことはあまりありません。
Jリーグのトレンド
あくまで、ベースという意味ですが、Jリーグでは鹿島アントラーズが伝統的に4−4−2を採用しており、彼らが3バックを採用したシーズンはほぼありません。
昨年のチャンピオンである川崎フロンターレは4−3−3を採用しており、小林悠、家長、阿部の3人が前線で猛威を奮いました。
横浜・F・マリノスは伝統的に優秀なCBを多く輩出しており、堅守の象徴として3バックを採用することが多かったですが、昨年から攻撃サッカーに転換しており、4−3−3を採用しています。
浦和レッズはWBを配置する3−6−1システムをペテロビッチ監督の時から採用しており、昨季途中から指揮を執るオリベイラ監督も引き続き同じシステムを採用しています。
海外のトレンド
バルセロナ、レアル・マドリードのスペイン2強は4−3−3を採用しています。
少し古いですが、
バルセロナはMSN(メッシ、スアレス、ネイマール)、
レアル・マドリーはBBC(ベンゼマ、ベイル、C・ロナウド)
と3トップが呼ばれており、彼ら3人が前線にいたことが分かります。
守備のイメージが強いイタリアはユベントス、ナポリが3−6−1を採用しています。
ユベントスもBBC(ボヌッチ、バルザーリ、キエッリーニ)と表現される3人がいましたが、これはディフェンダーの数を表す3です。
世界の戦術家が集まるイングランド・プレミアリーグはその時々のトレンドが色濃く現れます。
ファーガソン時代のマンチェスターユナイテッドの代名詞は4−4−2でしたが、
現在はそのマンUも含め、マンチェスターシティ、リバプールなどの強豪クラブは軒並み4−3−3を基本としています。
特にリバプールはサラー、マネ、フェルミーノの3トップが代名詞となっています。
2018年のW杯で優勝したフランスも4−3−3を採用しており、世界のトレンドは4−3−3と言えます。
ファンタジスタは絶滅?
ファンタジスタという言葉を一度は耳にしたことがあると思いますが、近年ファンタジスタと呼ばれる選手は絶滅したと言われます。
ファンタジスタと言えば、トップ下、もしくはセカンドトップと呼ばれるツートップの一角のポジションで天才的な閃きで攻撃に変化を加える選手を指しました。
日本では中村俊輔、世界ではデルピエロ、ロベルトバッジョがその代名詞でしたが、近代のシステムではそもそもトップ下、セカンドトップを置かないチームが多く、彼らのポジションがありません。
さらに前述の通りサイドアタックに主眼を置くため、ピッチ中央は別の役割を求められており、これがファンタジスタが絶滅したと言われる所以です。
現代的なミッドフィルダーで代表的なのはモドリッチ、イニエスタなどであり、彼らは主に攻撃陣と守備陣を繋ぐリンクマンとしての役割を担っています。
まとめ
サッカーのシステムは細かく分けるともっと種類があり、その数は100種類以上になると言われます。
ここではベーシックなフォーメーションを紹介しましたが、今後新たなトレンドとなるシステムも現れるかも知れません。
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